切除手術は根治目的で有効、他にも焼灼療法や肝動脈塞栓療法など化学療法との組み合わせも!
私たちの体の中で大きな臓器はと云えば「肝臓」、肝臓はお腹の右上部分にあり、重さは1kg~1.5kgも有る大きなものです。
その働きは、代謝機能(摂取した栄養素を身体で使える形に変えたり貯蔵したりする)、毒の中和(お酒に含まれるアルコールや煙草のニコチン、アンモニア、乳酸と云った体に良くない物質を無毒化する)、胆汁の分泌(胆汁を十二指腸に流して脂肪を乳化させ吸収しやすくする)、他にも免疫細胞のコントロールや血液の調整、保温の維持など様々な働きをしているのです。
肝臓は多少細胞が壊れても働き続ける臓器で、健康な人であれば肝臓全体の30~40%を使って身体を維持しており、病気などである程度肝臓の能力が低下しても、代謝作用による回復力で維持する事が出来るようになっており、また再生能力が高いため細胞の一部を切り取っても元の大きさまで回復する唯一の臓器でもあります。
その為、肝臓に負担がかかっていたとしても自覚症状として表れにくく、分かりやすい自覚症状として現れた時には症状がかなり進行してしまっていると考えられるのです。
肝臓がん
肝臓がんは、C型肝炎などのウイルス性肝炎が主な原因ですが、脂肪肝やアルコールの過剰摂取が引き金となる事も有るそうです。
昨今では切除手術の他、内科的療法など段階に応じた治療法が行われています。
読売新聞は4~7月に於いて、ガン診療連携拠点病院や関連学会の認定施設など1417施設に1019年の治療実績をアンケート調査し、515施設から回答を得た結果を掲載しました。
その中で、他の臓器からの転移ではない原発性の肝臓がんは、大半を肝細胞癌が占めていたのと、肝細胞を切除する開腹手術の件数が10件以上の病院を掲載したのです。
ガンは広がりや生じた場所で治療方針は変わるそうで、根治目的で有効なのは切除手術ですが、ガンが3個以内の場合に行うそうです。
他にも開腹手術の他、お腹にあけた小さな穴から器具を入れる腹腔鏡手術が上げられています。
東京大肝胆膵外科・人工臓器移植外科教授の長谷川潔さんは、誌聞の中で手術法の慎重な選択を勧めています。
「腹腔手術は傷が小さいという利点があるが、背中側や側頭にあるガンでは難易度が高い。太い血管の周辺にある場合や、正常部分を出来るだけ残したい場合は開腹手術が向く」
広がる手術法
最近では、体外から電極針を刺し、ラジオ波等でガンを焼く焼灼療法が広く行われています。
ガンの大きさが3㌢以内で3個以下が対象以下が対象だとか、高齢者や合併症のある人にも可能で、場所や大きさなどの条件が良ければ切除術と効果は変わらないそうです。
ガンが4個以上、または大きい場合には、肝動脈塞栓療法が行われるとの事ですが、足の付けから動脈にカテーテルを挿入し、ガンの手前でゼラチン粒を入れて塞ぐ療法です。
ガンへの酸素や栄養供給を減らすという云わば兵糧攻めを行うもので、抗がん剤を併用する場合は化学塞栓療法と呼び、効果を高めるために焼灼療法を組み合わせることも有るそうです。
切除が難しい進行がんの治療では、ここ数年、分子標的薬などの選択肢が増え、飲み薬によってガンの増殖や転異に係る特定の分子の働きを阻害する事も出来るようになりました。
9月に保険適用された薬にはがん細胞が免疫細胞に掛けているブレーキを解除しがんを攻撃できるようにするなど、別の分子標的薬と併用すると非常に効果が高いと期待されています。
これらの肝臓がんの早期発見は治療の選択肢を広げるばかりではなく、C型肝炎ウイルスは薬で治る様になりましたが、その後の定期ながん検査は必要なのです。
脂肪肝もガンのリスクになるため、若い頃より体重が増えた人は定期的健康診断を受診する事が大事ですね。
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