人工透析導入見送りや中止、医療機関の半数が経験
終末期の患者らの人工透析の導入を見送ったり、中止したりした経験の有る医療機関は、2014年以降で約半数に上るとする調査結果を日本透析医学界理事で川島病院(徳島市)副院長の岡田一義医師がまとめました。
人工透析の導入見送りや中止の広がりが全国規模で明らかになったのは、初めてだそうです。
全国の透析実施医療機関から無作為に抽出した1407施設に、昨年12月から今年1月にアンケートを行い、510施設から回答が得られたということです。
そのうち、14年6月~16年11月に透析の導入見送りや中止の経験があると答えた医療機関は240施設(47%)でした。
患者数は893人で高齢者が90%、認知症が45%だったということです。
透析の導入見送りや中止には条件が
背景には患者の高齢化が進み、身体に大きな負担がかかる透析の実態に迷うケースが増えているのでは、と見られています。
同医学会は14年5月に、透析の導入見送りや中止の条件として踏むべき手続きを提言しました。
容体が極めて悪い終末期などには、医師や看護師などで作る医療チームが患者や家族らと十分話し合い、合意した内容を文書に残すよう求めています。
提言に準拠して、導入見送りや中止が行われた患者の割合は77%でしたが、準拠しなかったケースは『導入見送りや中止が検討されるほど悪い容体ではなかったが、本人の強い意志と家族の同意があった』や、『提言の存在を知らなかった』、『提言を理解していなかった』などの理由が上げられました。
会田薫子東京大学特任教授(死生学)は『透析の導入の見送りや中止を経験している医師が、予想以上に多くなってきたことが伺える。
終末期ではない患者が透析を拒否した場合も、最善の選択ができるように医療者側が十分な情報を提供し、よく話し合う必要がある』と指摘しています。
人工透析とは
人工透析は、体内の老廃物を濾過する腎臓の機能が著しく低下した腎不全の患者に、通常・週3回4時間以上掛けて機械で血液を浄化するというものです。
2015年末時点の患者数は約32万5000人で平均年齢は67.9歳になります。
腎臓は肝臓など他の臓器と違い、再生能力が低く、一度失われた昨日は回復することが難しいのです。
慢性的に腎臓への障害が続くと腎機能が低下し、身体の中に老廃物がたまり、尿毒症と言われる症状が現れます。
尿毒症の症状としては、吐き気、嘔吐、疲れやすい、食欲低下、倦怠感、記憶力の低下などが出現し、時には意識障害が起き、昏睡状態になることも有るのです。
また、むくみ、呼吸苦、貧血、高血圧、不整脈など前進のあらゆる症状が出現することもあるそうです。
薬物や食事療法等の治療を行っても腎臓機能低下の進行が止まらず、そのままでは普通の生活を送ることが困難になってしまう場合、人工透析を考える必要が有るのです。
人工透析は本来の腎臓に変わり、人工的に老廃物や余分な水分を濾過し、血液を浄化する治療法なのです。
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