加害者の半数が不眠を訴え、一部『うつ状態』にも

 

 

社会問題となっている介護ですが、老人が老人を介護している『老々介護』、認知症の家族が認知症者を介護する『認認介護』など、課題が山積みとなっている介護制度、この先どのようになっていくのでしょう。

 

 

介護をしている自分の家族を殺害した『介護殺人事件』４４件を毎日新聞が調べたところ、半数近い２０件で加害者が昼夜を問わない、過酷な介護生活を強いられていたことがわかったと云うのです。

 

 

不眠で心身ともに疲れ果てた末に犯行に及んだと見れら、『事件当時はうつ状態』と診断された例も目立っているということです。

 

 

介護疲れによる殺人や心中は後を絶ちませんが、認知症や障害を抱えた家族を介護する人達の厳しい現実が浮かび上がったのです。

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毎日新聞が２０１０年～１４年の５年間に、首都圏１都３県（東京・神奈川・千葉・埼玉）と、近畿２府４県（京都・大阪・兵庫・滋賀・奈良・和歌山）で起きた介護殺人のうち、裁判記録を確認できたり、関係者を取材できたりした４４件について背景や動機を調べたというのです。

 

 

其の結果、２０件（４５％）の加害者は昼間だけではなく真夜中も介護したり、思い悩んだりして、深刻な寝不足に陥っていたことが分かったのです。

 

 

認知症や痛みが伴う病気の患者は睡眠障害や妄想から、眠らずに介助を求め『大声を出す』ことも少なく無いとされています。

 

 

２０件の加害者もこうした家族を介護しており、不眠が続いて追い詰められていたことが伺えたという事です。

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２０件以外の加害者が、不眠に悩んでいたかどうかは分からなったということですが、ただ４４件のうち３５件（８０％）については、裁判所が介護疲れを事件の主な要因と認定しており、不眠に悩んでいた加害者の割合は実際はもっと高いと見れるということです。

 

 

他の９件は貧困による将来への悲観などが背景に有ったとされているそうです。

 

 

『不眠』の２０件のうち８件の加害者は事件後の精神鑑定で『昼夜を問わない介護などで、事件当時うつ状態や適応障害だった』と診断され、不眠が続いた影響で、精神的に不安になった可能性があるとのことですが、他の事件の多くは精神鑑定がされていなかったと見られています。

 

 
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介護家庭を対象に２４時間体制で往診している兵庫県尼崎市の長尾クリニック院長・長尾和宏さんは次のように話しています。

 

 

『自宅で家族を介護して睡眠不足になっている人はそうと居るのではないか。

認知症の患者や寝たきり状態が長い人は、時間の感覚が来るって昼夜が逆転することが多く、真夜中に食事やトイレの介助を求めるからだ。

睡眠不足が続くと、うつ状態になりやすい。

介護殺人は決して特異な例ではない。

昼も夜も１人でずっと介護する生活は拷問に近い。

介護ヘルパーの夜間訪問制度はあるが、対応する事業所が少く、十分に機能していない』と話しています。

 

 

介護保険制度は、介護する側を支援する視点が欠けており、休息を取りながら在宅介護できる仕組みの構築や、介護する人への有益な情報提供が必要なのではないでしょうか。

 

 

毎日新聞１２１月７日より一部抜粋

 

 

 
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